杵臼事件
先祖の墓地を「発掘」され、遺骨を持ち去られたままになっている浦河町杵臼コタン出身の城野口ユリさん、小川隆吉さんら計3人の遺族は2012年9月14日、北海道大学に遺骨の返還と1人当たり300万円の慰謝料支払いを求めて、札幌地方裁判所に提訴しました。
- 第1回口頭弁論における城野口ユリさんの意見陳述書(全文)
- 第2回口頭弁論における市川守弘弁護士の意見陳述要旨
- 第3回口頭弁論における小川隆吉さんの意見陳述書
- 2016年3月25日、3地域の訴訟のうち浦河から持ち去られた遺骨について和解が成立しました。
- 和解後の記者会見
- 2016年7月15-17日、北海道大学医学部のアイヌ納骨堂(札幌)から、12箱分の遺骨が約85年ぶりに故郷・北海道浦河町杵臼コタンに帰還しました。
和解条項(浦河町杵臼)
和解条項
1 被告は、平成28年5月30日以後、利害関係人から埋葬が可能になったとの通知を受けた後速やかに、利害関係人に対し、北海道浦河郡浦河町字杵臼515番地所在の杵臼生活館(以下「本件引渡場所」)という。)において、別紙1及び3記載の遺骨及び副葬品を引き渡す。ただし、本件引渡場所までの搬送に要する費用は被告の負担とする。
2 被告は、平成28年9月末日限り、被告が開設するウェブサイト上において、別紙2記載の遺骨に関する以下の事項を公告する。
(1)祭祀承継者を特定するうえで必要かつ合理的な情報
(2)公告の日から1年を経過するまでの間に限り、当該祭祀承継者から遺骨の返還の申出を受けること。
3 被告は、前項の公告の日から1年を経過するまでの間に前項(2)の申出がない別紙2記載の遺骨を、利害関係人から埋葬が可能となったとの通知を受けた後速やかに、利害関係人に対し、本件引渡場所において引き渡す。ただし、本件引渡場所までの搬送に要する費用は被告の負担とする。
4 被告は、第2項の公告の日から1年を経過するまでの間に同項(2)の申出があった場合には、その旨を原告ら及び利害関係人に通知するとともに、申出があった遺骨の取扱いについて、原告ら及び利害関係人と別途協議するものとする。
5 利害関係人は、第1項又は第3項に基づき被告から引渡しを受けた遺骨及び副葬品を、北海道浦河郡浦河町字杵臼542番地所在の杵臼共同墓地内の別紙図面の斜線で示した部分(以下「本件埋葬場所」という。)に埋葬し、将来にわたり尊厳ある態様で維持管理する。
6 被告が、利害関係人に対し、第1項に基づき別紙1及び3記載の遺骨及び副葬品を引き渡したときは、被告は、引き渡した日から30日以内に、利害関係人に対し、第1項及び第3項による本件埋葬場所についての墓地の使用料及び埋葬に要する費用106万7600円を、ゆうちょ銀行の利害関係人名義の当座預金口座(記号・番号02730ー2ー102357)に振り込んで支払う。
7 原告ら、被告及び利害関係人は、別紙1及び3記載の遺骨及び副葬品について、埋葬後に第三者との間で紛争が生じた場合には、利害関係人がこれを解決するものとし、被告に一切迷惑をかけないことを約する。
8 原告らは、別紙1ないし3記載の物件に関し、その余の請求をいずれも放棄する。
9 原告ら、被告及び利害関係人は、原告らと被告との間及び被告と利害関係人との間には、別紙1ないし3記載の物件に関し、この和解条項に定めるもののほかに何らの債権債務がないことを相互に確認する。
10 訴訟費用及び和解費用は、各自の負担とする。
以上