アイヌ遺骨の研究利用をめぐって
コタンの会と北大開示文書研究会は2017年5月16日、北海道公立大学法人札幌医科大学を訪問し、対応の松村博文・保健医療学部教授に、塚本泰司学長あての質問書を手渡しました。
面談の記録/2017年5月16日、札幌医科大学
以下は、1時間あまりの面談の録音記録を書き起こしたものです。
2017年5月16日午前10時~
三浦忠雄氏
それでは始めたいと思います。わたくし、北大開示文書研究会の事務局長の三浦と申します。どうぞよろしくお願いいたします。このたび、時間を取っていただきまして、まことにありがとうございました。きょう、こちらのほうで集まったのは、北大開示文書研究会のメンバー、あるいは遺骨訴訟原告、またコタンの会、平取アイヌ協会の会員等ですね、集まらせていただきました。まず、こちらのほうから、北大開示文書研究会の共同代表をご紹介させていただきますが、アイヌ民族の代表として、清水裕二です。
清水裕二氏
清水です。よろしくお願いします。
三浦氏
そしてまた、和人代表として殿平善彦です。
殿平善彦氏
殿平です。どうぞよろしくお願いします。
三浦氏
殿平のほうから、質問、要望書を出させていただきますので、どうぞお受け取りください。
殿平氏
よろしいですか? そしたらあの……
三浦氏
あ、そちらのほうの自己紹介いただいてから……
山崎正人氏
じゃあ、私のほうからご紹介させていただきます。遺骨の担当をしております松村教授です。
松村博文氏
よろしくお願いします。
山崎正人氏
東北大学から来ていただきました百々先生でございます。
百々幸雄氏
前の前の札幌医大の教授だったんですけども、たまたまきょうね、キタコガネの縄文人の骨を調べに来たら、こういう中に巻き込まれたんですけど、百々と申します。よろしくお願いします。
土橋芳美氏
お名前、なんとおっしゃる?
百々氏
どど、といいます。
若林和夫氏
ヒャクヒャクと書いて。
山崎正人氏
事務局の総務課で副課長をしております、山崎と、ナヒラでございます。
ナヒラ氏
ナヒラと申します。よろしくお願いします。
松村氏
後のかたは……?
殿平氏
あ、じゃあちょっと紹介して……
三浦氏
そうですね。あ、時間も時間なので、あとで一言いただくときに、自己紹介させていただきます。
殿平氏
そしたらあの……北大開示文書研究会からの、質問状という形ですので、一応お渡ししますので、どうぞお受け取りください。
松村氏
はい。
殿平氏
いまからこれ、私たちのほうで読み上げて、させていただきたいと思います。
三浦氏
みなさんの分もお渡ししたほうが良いですね。
殿平氏
みなさんにお渡ししましょうか。コピーしたものがあります。……それではあの、共同代表のほうから、この文書研究会、あの、北大開示文書研究会から差し上げた質問状について、読み上げさせていただいて、質問に代えたいと思います。
殿平氏
以上が、私どもから差し上げた質問状の内容であります。ちょっと、どうしましょうか? 共同代表からひとこと、続けて……。
清水氏
えーっと。いま読み上げましたように、訂正あるかも知れません、確認いたします。いま、北海道新聞の報道のことがありました。これですよね。これによりますと、先ほど249体と申し上げましたが、実は294体となっていまして。
殿平氏
294体のほうが正しいんですか?
松村氏
いま増えたんです。毎年増えてんです。
殿平氏
増えたんですね? じゃあ、失礼しました。294体とさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
清水氏
わたくし、コタンの会の代表でもありまして、開示研の共同代表とコタンの会の代表ということで、きょう、うかがうことになりまして。率直に言いまして、松村先生と久しくお会いできたなと、思いがありますけど、率直なお返事をちょうだいできればと思います。よろしくお願いします。
百々氏
あの、質問よろしいでしょうか。
三浦氏
(松村氏に)あの、どういう形で(進行しますか)?
百々氏
いいですかあ?
三浦氏
はい、どうぞ。
百々氏
あの、殿平さん、アイヌ、あるいはアイヌ民族に対して、どのようなご認識をお持ちですか。教えていただきたいんですけど。
殿平氏
えーと。まあそれはいいんですが、ちょっとこう、いまの質問(状)とね、特に関係が……
百々氏
いや、それを聞かないと話が進みません。
殿平氏
とりあえずこの内容についてですね、お話をしていただいたうえで、私は私なりの見解を申し上げても結構ですけれども……
百々氏
どうぞお願いします。始まる前にそれが※※※(聞き取れない)たら、話が始まらないですよ。それからもうひと……
殿平氏
ちょっとじゃあ、百々先生、ちょっと待って下さい。
百々氏
なんで?
殿平氏
あの、この内容を差し上げたので、いちおうあの、松村先生からひとこといただきたいと僕は思いますけどね。そうしましょうよ。私もちろん、話しますからね。
百々氏
※※※(聞き取れない)しなきゃ、こんな質問状出してもね、あなたたちがアイヌて、アイヌ民族に対してどういう認識を持って……
殿平氏
百々先生の認識は、どういう認識を持っていらっしゃるんですか。
百々氏
いやいや、私は答えませんよ。
殿平氏
どうしてですか?
百々氏
本を差し上げますよ。私は45年間……
殿平氏
私はあなたの講演もいろいろ聴いてますけどね……
百々氏
45年間ね、研究してきました。私の※※※(聞き取れない)
木村二三夫氏
これはね、人として関わってちょうだい、あなた。
百々氏
私個人を批判して下さい。これを読んでからやってください。
殿平氏
あなたと話しにきたんじゃないんですから。
(声が錯綜)
木村氏
感情を挑発するような態度はだめだよ。
(声が錯綜)
殿平氏
あなたと話しに来たわけじゃないんだから。
松村氏
いや、そんなことはない。
(不明)
何だそれは。どうなってんだ?
(声が錯綜)
清水氏
すみません。あのね。いま私ども、共同代表、あるいは北大開示研、コタンの会として、医大のみなさんに、あるいは松村先生に、質問状を出しました。これについての受け止め方、あるいは※※※(聞き取れない)をどちらかちょうだいしたい。そのうえでね……
百々氏
いやいや、アイヌってどういう人たちか……
殿平氏
失礼じゃないですか。あなた、ご自身が言うべきでしょう。もしそういう質問をなさるんでしたら。私らはみな……
百々氏
それじゃあ言います。
殿平氏
いや、ちょっと待って下さい。その話をいまここでやる場所じゃないんですよ。あなたの※※※(聞き取れない)
百々氏
コタンってなんですか。
殿平氏
えー、学長さんに対する質問でしてね、学長さんの代わりとして松村先生がいらっしゃるわけですから。ここの話をきちっとした上で対話があるんでしたら、私もちろんさせていただきますけれども。そのまえにその論議、しません。そんな。どうぞお願いします。
百々氏
どうもおかしいなあ。
木村氏
いや、俺もおかしいと思う。先生の立ち位置って何なの?
百々氏
ぼくはね、立会人にきたんだけどね。※※※※(聞き取れない)の人たちよりね、俺のほうがアイヌにずーっと寄り添って来たと思うの。この人たち、アイヌをどういうふうに思っているのかを、先に話してから、こういう文書を出して下さいよと、私は言いたいの。
清水氏
えー? 私が出してるんです。アイヌの私が用意して、出してるんです。
百々氏
どういうふうに思ってるの? アイヌとか、アイヌ民族とか。北海道の先住民。北海道の先住民です。いいですよ、北海道の先住民。アイヌ民族っていつからおられます?
(声が錯綜)
清水氏
そういうことまでいま、この場で話さなければならないんですか?
殿平氏
そういう論議をしに来たんじゃないんですよ。(松村氏に向かって)なんとかしてください、先生。
(声が錯綜)
百々氏
そういう話の前に、こういうのが出て……
木村氏
先生、出過ぎじゃないの?
百々氏
※※※(聞き取れない)
殿平氏
これはだめだわ。
百々氏
※※※(聞き取れない)
殿平氏
松村先生、ちょっと(百々氏に部屋の外に)出てもらったら?
三浦氏
ちょっといいですか?
殿平氏
松村先生、ぼくら話、できませんよ。まったく話にならない。(外に)出て下さいよ。冗談じゃないよ、こんなの。何言ってんだ。
百々氏
何言ってんだって、何てこと言うんだ。
(声が錯綜)
三浦氏
時間の無駄ですから、やめましょう。本当にやめましょう。
百々氏
何時間かかったっていいよ、俺は。
殿平
あなたはいいかもしれないけど、われわれはそうはいかないんだからね。
松村氏
こういう議論がやっぱり土台っていうものが……
百々氏
※※※(聞き取れない)
殿平氏
そりゃそうですけどね。
松村氏
そんなに時間とらないんで、数分でいいんで、明確にしたいと、先生のおっしゃることも私、少しわかりますので。冷静になって。
清水氏
冷静になってね。
木村氏
あれだな、この話を聞いていたらアイヌが悪者にされているような気が。
百々氏
いやいや、俺たちが悪者にされてるのさ。
(声が錯綜)
木村氏
先生ね、ここへ入ってきた瞬間にね。なんか、感情が強いせいかね。あの、エカシ、フチが俺のところに寄ってきてね、「早く何とかしてくれ」とね、なんかそんな声が聞こえながら、ここへ来たんだよ。だからもっとね、真摯な発言があるのかなと思ったら、これ、全然違うな、俺の描いていた……。
百々氏
すみません、感情的になって。
木村氏
そうだよ、先生ね。
百々氏
黙ってます。
木村氏
いや、黙ってなくてもいいけどさ、感情を露わにするようなことだけは全部やめてや。
松村氏
ちょっとこの後で、事実関係について、はっきりさせておきたいので、それを説明させていただいたうえで、その土台になる議論を少しだけでも時間を取りたいので、あとで……
清水氏
まず※※※(聞き取れない)をちょうだいしたいということを何度も申し上げました。
松村氏
まずはですね。えーと。篠田(謙一・国立科学博物館人類第1研究室長)・安達(登・山梨大学医学部法医学講座教授)先生のなされたDNA。まず札幌医大とは、共同研究という形はとっておりません。なぜかというと、私たちがそれをDNA研究をするための許可を出せる立場にないと言うことでございます。それは、人骨の所有権が誰かということですね。いま、もちろんそれはアイヌ民族の方々のものでもあるんですが、法律上はですね。あの遺跡発掘の人骨は、市町村・道の教育委員会が所有者となっております。ので、道教委からも通達で言われているんですが、DNA等の破壊分析は道教委が許認可を与える、ということで、私たちが勝手に許可しちゃいけない、という物件でございます。そのために、篠田・安達先生は研究計画書を道教委と、それから、もちろんアイヌの方々の同意も必要なので、(北海道)アイヌ協会に研究計画書を提出しまして、合意を得たということでございます。実施されたのが実は、アイヌの先住民、私、先日あの、アイヌ協会に行ってちょっとうかがったんですが、篠田先生がサンプリングされた時期が、えーと、国連の先住民族の権利宣言がアイヌの方々に、国会で認証され、適用されるよりも以前のことなので、あのー、いまでは法令遵守で、権利宣言て重視されて、アイヌの方々のもっとさらに同意が必要なんだと思いますが、その当時はこれがなかったものですから、手続き上は問題なかったということで、そういう解釈で先生方は、研究を進められたというのが事実でございます。それからもうひとつ、共同通信の新聞記事でございますが、DNA研究に関して、札幌医大と(北海道ウタリ協会が)何か覚書とか、合意文書を交わしたとかっていう事実はございません。その合意文書というのは、平成18、17年の、(札幌医科大学で)最初のイチャルパがここで行なわれた時の、アイヌ人骨に関する受け入れ・管理・返還に関することに対して、必ず協議、アイヌ協会と協議をして、やっていくということを学長と覚書を交わしたものでして、安達先生・篠田先生の研究はもっと後のことなんです。全然、だから、全然古いことと、新しいことをごっちゃまぜにして、セットにして、あたかもDNA研究のための覚書が交わされていたみたいな、記事の扱い方は、私たちは非常に不当な扱い、誤報道だと主張したいと思います。そのために、何人かのアイヌの方々は「そんな話聞いてないよ」ということにつながっていると。ということをちょっと、主張させていただきます。
木村氏
あの覚書は捏造されたものなの?
松村氏
いえいえ、覚書っていうのはずっと古い……DNA研究に対する覚書ではなくって。私たち毎年、アイヌ人骨を受け入れております。なぜ受けているかというと、毎年、道路工事等々、公共事業で発掘調査が行なわれておりまして、市町村の教育委員会がやっております。で、それを管轄しているのが道教委なんですが、道教委としては、骨のことが分かる専門家がいるところに、骨を一括管理して欲しいということから、札幌医大に寄託という形で、保管して下さいという形で、依頼を受けて保管しているというのが。
土橋氏
それはどうしてアイヌの遺骨だって分かるんですか?
松村氏
それは、副葬品とか、考古学をご存知の方ならこれは当たり前の話なんですが、アイヌの独特の墓の形状、それから副葬品、それからいろんな文化遺物、そんなものから、これはアイヌのものだとはっきり分かります。もしそういうものが出たら、むしろ骨よりも、そういう副葬品とか墓の埋葬様式とか、そういったことからアイヌってことが分かるんで、私たちが扱っている……
土橋氏
最近もですか?
松村氏
最近もです。毎年やってます。最近、厚真町とかいろんなところで。最近も余市町から、30体くらいの遺骨をお預かり、寄託でお預かりさせていただきました。あくまでそれは私たちのものではなくて、所有者は町の教育委員会になります。
殿平氏
ちょっと確かめたいのですが、294体のご遺骨を所蔵してらっしゃる事実があると思うんですけど、それらの遺骨について、所有権は札幌医大にはないんだ、というふうに主張なさるということですか?
松村氏
はい、遺跡のものに関してはありません。
殿平氏
遺跡のもの、についてはない、と。遺跡のものと、遺跡でないものがあるということですね。
松村
はい、たとえば個人のお宅のお庭から……。
殿平氏
しかし、実際にお骨を預かっている事実はあるわけですよね。はいはいはいはい。したがって、そのお骨がどのように使用されるかってことについて、札幌医大がまったく関係ありません、ということはとても考えられないことであって、道教委がもし了解したとしてもですね、もともと、この遺骨そのもののね、その、所有権というものは、アイヌあるいはアイヌの子孫の方々に所属するものであってですね。その事実はお認めになられますよね?
松村氏
はい、その声を代表しているのが、私たちは(北海道)アイヌ協会というふうに認識しておりまして、まあ、それを……
殿平氏
そこがね、認識の違いがちょっとあるのですが、アイヌ協会はもちろん、アイヌの方々の集団としてあると思いますけれども、実際、具体的にその人たちは、それらの遺骨の具体的な子孫と言うことにはなりませんよね。つまりそれらは、つまりもともとコタンというものが存在して、そこに所属した遺骨であって、そのコタンから発掘されたということですから、そのコタンは集団で遺体の埋葬・管理を続けてこられた人たちですのでね。従って、そのコタンに所属する人たちはそのお骨に関する権利をもってらっしゃることは間違いないと思いますけれども。それ以外の方たちは、アイヌの方であっても、そのコタンに所属していない人たちが、そのお骨について、それ(研究利用)を許可したり、するような権限はもともと存在しない。それは道教委もまったく同じことですね。と同じように札幌医大もそうだと思いますけれども。それが本来のことですね。(百々氏が発言しようとするのを制して)ちょっとあなたは待って。どうですか? そういうふうにですね、その立場で、私たちも、みなさんが申し上げていらっしゃることなのであってね。
松村氏
それを言われると、これはもうDNA研究だけじゃなくて、埋蔵文化財っていう研究調査っていうのはDNAだけじゃなくていろんな研究・分析が行なわれているものですから、それは文化財行政っていう大きなくくりの話になるので、むしろ要望を上げるとすれば、文化庁なりに……まあ道教委も文化庁の下でいろんなことを許可を出しているものですから、文化財行政全体の話になるので、アイヌ民族の方々のひとつの声として、文化庁にその要望を出していただくのが、私たちは適切だと思っております。
殿平氏
私たちはもちろん、文化庁にも道教委にも、さまざまなところにこの問題点があるということを承知していると思いますけれども、同時に、このお骨を実際に所有なさって、所蔵なさって、その管理に責任をもってらっしゃるね、札幌医大が、単に持っているだけで、「私たちは何の権利も責任もありません」ということは、それはとても考えられないことであってですね。やはりそれは、たとえ篠田さんやどなたかがね、研究計画書をお出しになったとしても、しかしやっぱりそれを、そのサンプル調査をさせた側に医大の方は、医大の側はいらっしゃる、それは間違いない、歴然たることですよね。そこはきちっとした責任をお感じになる必要があるんじゃないですか。
松村氏
あの、古くに発掘されたものについては、確認できていないんですが、最近に発掘されたものに関しましては、地元の教育委員会と、地元のアイヌの方々との同意のうえで、札幌医大に、保管の合意を持って、ここに持ち込まれているものですから、それは、当然、いろんな研究に使われるということをまあ、あの、ご承知の上でそういう手続きが行なわれているので、その点については改善はされております。
木村氏
ちょっといいですか? まあ出どころなんだけどね。まあよく、寄贈だとか提供、寄託だとか言ってるけどね、中には盗掘されたものも提供されたものもあるの?
松村氏
それはないでございます。
百々氏
いや、その盗掘ってのは、どういう意味?
木村氏
墓から掘り起こして、ドロボウしてきたって。たくさんあるでしょ。北大にしてもさ、児玉作左衛門にしても小金井良精にしても。ね。昔はすごかったじゃない。あの本見たってさ。それこそ、目を覆うようなね、文章がね、出てるわけだから。そういう事実がなかったということ?
松村氏
うちにあるのは、工事中の発見。遺跡以外のものですと、工事中の発見ていうのが圧倒的に……
木村氏
圧倒的っちゅうことは、何か違う※※※(聞き取れない)もあるの?
松村氏
工事中でなくて、もっとさらに、その出所の分からない「どっかのお寺さんが預かっていたもの」とか、「小学校の校庭から見つかったもの」とか、個人のお宅の車庫の改築の時に土台から出てきたとか、そういう例がございます。
百々氏
あのね。ここの大学でアイヌの遺骨を集め始めたのは昭和30年代ですから、そういう個人のお宅から出てきた場合とかは、まず警察に届け出ると思います。それで警察で事件性がないということなったら、しかるべく教育委員会に行ったか、あるいは直接ここにきたか。そういうふうに、昭和30年代以降ですから、そういうふうになってると思う。
土橋氏
札幌医科大学には昭和32年以前はなかった、ということですね?
百々氏
ええ。そういう研究をしている人はいませんでした。
土橋氏
この昭和32年……
百々氏
あ、ちょっと待って下さい。その前には渡辺三郎先生がいたけども……。発掘はしておりま……せん。
土橋氏
遺骨があるようになったのは……
百々氏
昭和30年代以降です。
殿平氏
それをもうひとつですね、確かめておきたいのですけれども、アイヌ遺骨の返還等についての覚書ということですね。札幌、あの、道協会との※※※(聞き取れない)
松村氏
受け入れ返還……
殿平氏
それは2006年に交換されたと思いますが、実際私たちは「研究は2010年から始められた」というふうに聞いていますのでね。明らかにこの覚書の時間的な経緯からいえば、覚書のほうが早い段階になってますね。これは単に、私たちは中身を、もちろん返還についての覚書というふうになってますけれども、この研究についての合意という問題もここにちゃんと書かれている問題でありますから、そういった意味では、研究問題についてもね、ここで話し合いがされてると、いうことなのですけど。
松村氏
それはあの……
殿平氏
したがって今回の研究についてもね、まったく札幌医大は無関係に、所有したお骨だけを提供した、と。僕は実にそこに責任があるというふうに、私たちは深く考えていますけれども。しかし、この覚書に基づいた、ということではない、ということを、おっしゃるんですか? それとも、これとはまったく無関係のことなのか。
松村氏
いや、その覚書では、もちろん、その研究に関しても、アイヌ協会と協議をしながら、ということをうたっておりまして……
殿平氏
なってますね、はい。
松村氏
それを着実に、まあ実行したということで。それはま、相談する相手がアイヌ協会だけじゃ不十分だと、あなたがたの主張は分かりますが、私たちの立場としては、あの覚書どおり実行した、という理解でおります。
殿平氏
まあそれはもちろん、手続きどおりなさったに違いないと思いますけれども、私たちは、少なくともアイヌ、この遺骨問題そのもののね、本質は、やはりそういう形でね、研究がずっと続けられてきたというところがありますからね。けっきょくみなさんがいらっしゃったのは何かと言えば、そういう自分たちの個々のね、コタンから掘り起こされた、あるいは持って行かれた、さまざまな形でお骨は届けられたんだと思いますけれども、しかし、そのお骨がね、まったく個々のコタンや子孫や遺族、あるいはコタンの構成員に対してね、何の具体的な連絡も合意もなしに、アイヌ協会とか、あるいは教育委員会とか、大学とか、いうところだけの合意の中でね、研究が進められてきた、ということに対するですね、コタンの構成員の人たちの怒りがあるんだと思うんですね。それをやはり、率直に聞いていただいて、そこのところで遺骨問題を解決するっていうふうに考えていただかないと、あの……協会と合意できればそれでいいんです、というふうにおっしゃっていただくと、それはね、とても問題がそこから、新たに発生することになると思いますよ。
松村氏
それは民主主義の中で、アイヌ協会ていうのは、全道の支部長さんたちが集まってやってる団体ですので、支部っていう団体が、どこまでコタンの声を吸い上げているのかっていうところに行き着くわけですけども、それをどう折り合い付けて調整するかというのは、そりゃまあ、今後の課題であるとは思います。
殿平氏
うーん。あの……ちょっと……
百々氏
ちょっといいですか? まだ※※※(聞き取れない)
殿平氏
まだ待ってて下さい。
松村氏
みなさん、ここの、もう長年のアイヌ遺骨の管理者であり、責任者であるので、百々先生のお話もちょっと……
清水氏
あのですね、寄託、寄贈? といったものが扱っていると。預かってるんだという言い方でしたね? この札幌医科大学で、研究のため使用したっていう事実はないってことですか?
松村氏
研究のために……※※※(聞き取れない)DNA研究のため?
清水氏
何の研究でもいいです。
松村氏
研究はいろんな形で、ずっと、何十年と行なわれております。
清水氏
黙って聞いていたらね、寄贈だ、寄託されたものしかないんだと※※※(聞き取れない)で目にした言葉として、研究のため収集したっていうのがあったんでね。何だろうと思って。
松村氏
それは、はい。教育委員会から「研究に使用していいけども、破壊分析に関しては、許可を、教育委員会取ってください」というふうになっておりまして。その研究自体というのは、あの、何て言うか、何十年と百々先生たちが積み重ねがあって、初めてアイヌ民族が……
百々氏
それちょっと待って。それ※※※(聞き取れない)。それ分かんない。学説。私の学説は、学説であって、それを(ほかの研究者が)追認しなきゃ実証ならない。そのためにはDNAが必要だと、私の本に書いてあります。どうしてみなさん、そんなDNA、DNAをあの、目の敵にするのかが、私には分からない。
殿平氏
あのね、目の敵じゃないよ。
清水氏
私を含めてね、アイヌの気持ちからしたらね。先生のおっしゃることは……
百々氏
分からない?
清水氏
不届きすぎることなんですよ。
木村氏
先生、いいかい?
百々氏
いいよいいよ、言って?
木村氏
先生ね、俺、ことあるごとに言うんだけど、シャモにもアイヌにも。
百々氏
うんうんうん。
木村氏
わが身に置き換えて考えてみたときに、研究させれるかって。研究(材料として自分自身や家族を)提供できるか、用意があるかって聞いたら、俺は絶対嫌だ。身内も絶対嫌だ。
百々氏
そこもちゃんと(自著に)書いてあります。
松村氏
※※※(聞き取れない)は嫌がるものはやるってことは、全然、私たちもありません……
木村氏
基本はそこなんだ。俺はシンプルにものごとを考えたいからさ。それしか考えれないから。
百々氏
※※※(聞き取れない)
木村氏
だから先生の話を聞きたい。先生あの、研究として(自身や家族を)提供できる用意があるかい?
百々氏
うん。いや、うん俺はやるよ。俺、ちゃんと大学に献体することになってる。
木村氏
学者はみんなそうだ。学者はみんなそう言う……
百々氏
うん。
木村氏
……こと言うけど。
百々氏
あのね。あのね、あの本にも書いてあるけども、あの、本州ではね、あのみんな、アイヌの人たちはこう、すぐ文句つけるけど、みんな平気で、江戸時代でも、室町時代でも、町教育委員会とかの許可、あの、管理者の許可があれば、やってた、やる、あるんですよ。何万体っていう遺骨が、日本人のは持ってるの。アイヌの人たち、確かにあの、小金井先生なんて「人目を避けて掘った」、児玉作左衛門先生もいろいろやったけど、ほんで、われわれとしてはね、やっぱりどうしてもね、アイヌの人たちが今までいると、平安時代までしか出てこないんですよ。アイヌ民族ってのは。鎌倉時代。鎌倉時代。鎌倉時代にね、僕さっきちょっと※※※(聞き取れない)鎌倉時代から出てきて突然アイヌがそっからアイヌ文化が出てくんですよ。
木村氏
(小声で)(百々氏の話を)理解できないな、俺。
百々氏
いや、アイヌ文化っていうのはね、鎌倉時代しか出てこないの。
松村氏
そっから新しい時代ですね。
殿平氏
まあ、そらあ、あの……
百々氏
だれがやったの? そこなのよ。アイヌ文化。ね? それをね、それをこういう古人骨を使って、もっともっと先に行かないだろうか。行かないんだろうか。といってたら縄文時代にまでたどり着いたわけ。私の学説は。ね? それをみなさん、利用して、今度のあの先住民の権利とか言ってて。
殿平氏
あのね。
百々氏
それで学者を今度は逆に苦しめて……
殿平氏
あの、縄文時代から(文化が)あるから先住民だと? 先住民の……
百々氏
平安時代からでもいいですよ。いいですよ。いいですよ。
殿平氏
先住民族てのは基本的にはね、われわれの以前に……
百々氏
分かります。
殿平氏
ここに住んでらっしゃった方たちが先住民なんだから。
百々氏
分かります。分かります。
木村氏
先生、俺の顔を見たら分かるでしょう、ねえ、はっきりしてるでしょう?
百々氏
それは分かるけども、どうですか? あの平安、あの鎌倉時代にね、サハリン経由でね……
木村氏
あんまり難しいことは分からない。
百々氏
いやいやいや。
木村氏
平安はアテルイくらいしか知らないから。
百々氏
いや、だからアテルイ、俺は東北にこうやってちゃんとやったんでしょ。東北地方にアイヌの足跡を求めるって。
土橋氏
ちょっと待って下さい。そういう学説の問題で来たんじゃないんですよ。
殿平氏
そんなことで来たんじゃないんです。
百々氏
だけど
(声が錯綜)
松村氏
先住民族の権利ってことはですね、アイヌ民族が先住民だというふうに認められているから……
百々氏
それがね、平安……
(声が錯綜)
松村氏
それを認められる根拠になっているのが、古人骨の研究によって科学的な裏付けがなされて、政府が先住民と認めたわけで、その科学的な裏付けをなされたのがこの百々先生たちの何十年という研究の成果なんで。
殿平氏
それをね、そんなふうにおっしゃるとね。
松村氏
それを潰してしまえば、元も子もなくなっちゃう話なんですよ。そもそもどうして先住民として認められたかっていうデータを提供されたのがけしからんという話になると、本末転倒っていうか。
殿平氏
それは……逆じゃないですか? 本末転倒っていうのはね、アイヌの方たちが、今までね、どんな形で遺骨を扱われてきたかっていう怒りがあるでしょ。そこのところをね、あの先住民であることはそら、はっきりわかってる。そらあ、人類学者だけじゃないですよ。多様な人たちのね、活動と研究の中でね。あの、国会でも先住民族であることをね、改めて2008年にようやくそのことがね、決議として出された、知ってます、こら共通認識でしょう。しかしね、このことと……
百々氏
それはあ、私たちの研究があったからです。
(声が錯綜)
松村氏
盗掘されたものと、その、行政のちゃんとした発掘調査で出土したものを、それを論議の土台の中でごっちゃまぜにするので、そういう、こういうズレが出てくるんだと思います。
(声が錯綜)
木村氏
ちょっと聞いてくれる? 俺、去年のイチャルパに来たんだ。俺、あの時ね、人間皆平等だと思ってたからね、ぴちっとした慰霊の環境を作ってくれるもんだと思ってた。したら違うんだもんね。寒い吹き抜けのとこでね、隣で工事やってるわけ。何であんな1時間かそこらのね、儀式の間、その工事を止めれないもんかなと思いながらね。俺、聞いてて、危なく怒鳴りつけるとこだったよ。アイヌに対してそういう見方しかしてないんでか?
百々氏
いや、そんなことないって。
木村氏
あれ見てね、俺、もうがっかりして帰ってきたんだ。
百々氏
あのね、ちょっと、言わせよ? あの3人と俺と天敵だから。あのね、これからDNAを……いまね、こういうふうにアイヌをやるとこうでしょ? アイヌをやる研究者、いねえ、いなくなっちゃったんだよ、だれも。恐くて!
木村氏
あのね先生……
百々氏
だからアイヌは今まで、DNAでもやろうとしている人はね、それこそアイヌに本当に寄り添っている人なの。アイヌの味方なの。
木村氏
あのさ、言ってること分かる気もするけどね、ほんとに研究したいんであれば、アイヌの学者を育てなさい?
百々氏
そう、俺……
木村氏
それに寄り添ってね、※※※(聞き取れない)少し俺、気持ちは分かる。
土橋氏
違う……。
木村氏
これまでね、騙しのテクニックでずーっとやってきてるわけでしょ? シャモがね、アイヌに対して。その歴史をね、考えてみたらさ、だからもう、すごく違和感があってね、もういやなの。またアイヌが利用されるのか※※※(聞き取れない)
百々氏
アイヌの学者を育てましょうよ。
松村氏
遺骨の管理もアイヌの方々にぜひやっていただきたいと私たちは思っているんですよ。
木村氏
まあ、そのことに関しては反論もあるだろうけれども、俺自身は……
殿平氏
そらあそうですけどね、しかし、過去の研究史に対して、私も百々さんのあの、講演をお聞きさせて、聞かせていただきましたよ。しかしね、実際ね、きちっとした、過去の研究史の総括と、その問題を研究なさってる方々はね、否応なしに過去の研究史を背負いますからね。である以上、この研究史に対して、人類学会なり、個々の研究者がきちっとした謝罪の態度をね、アイヌの方々に対して表明するということが前提ですよ。そのことがきっちりしないでね、その、自分たちの研究がアイヌの役に立ってるんだといくら言ってもですね、それは通じていかないもんですよ。その怒りがあるからこそ、こう、みなさんがいらしてるんであってですね。そのことを百々さんはちゃんとおっしゃらないとダメですよ。あなた自身がそのことについて、自らの……
百々氏
じゃあ私が謝罪すればいいんですか。私が謝罪すれば。だめ?
殿平氏
だから、百々さんご自身が謝罪することもとても大事なことですよ。
百々氏
はい。謝罪します。私は、その(本の)中で謝罪してます。本の中で。
殿平氏
謝罪というのはね……
百々氏
謝罪というのはね……
殿平氏
個人でしても詰まらないって、あなたおっしゃったんですよね。「それは人類学会でしたらどうですか」ってあなたはおっしゃったのを私、聞いたんです。それを人類学会でおやりになったらどうですか? そのことが、本の中で書くんじゃなくて、きっちりアイヌの方々のところへ届くようにですね、あなたがおっしゃらないとね、そりゃ通じないですよ。
百々氏
だけどね、私、元の、ずっと前の人類学会会長ですよ。それがその場で、あんた、昔会長だったんだから、あんたがその場で謝罪せよ、って言ったってね、いまの会長に、そんなこと(を命じるような)権限、何にもないですよ。
殿平氏
そらあねえ、人類学会としての謝罪にはならないかもしれないけれども、前の人類学会の会長さんである方がね、百々さんが、きちっと自分のね、過去について、研究史の過去について、丁寧な謝罪をきちっとなさればね。「本に書きました」じゃあ、やっぱり話にならないんですよ。きちっとやっぱりなさるべきじゃないですか? それ、聞こえてないじゃないですか?
百々氏
あのね、謝罪って言うとね、すべての非を認めて、いいですか? それに対する賠償問題、法律の先生いますよね? それに対するすべての賠償とかなんかも全部負わなきゃなんないって。なんか謝罪ってそういうもんらしいんですよ。
殿平氏
その通りですよ。
百々氏
そうするとね、恐くて、恐くてね。心の中で思っていても、そんな、表だって……あの、出せませんよお。
殿平氏
でも、それ出さなかったらね、そのことが前提にならないから、怒りがあるんですよ。それがね、人類学会、それをきちっとなさるべきでしょう?
百々氏
解剖学会もありますよ。人類学会だけじゃないですよ。解剖学会もある、文化人類学会もある、考古学会もある。
殿平氏
その通り、その通り。そこがきっちりね。だから、このことがきっちりしてないですよ。
三浦氏
すみません。時間も時間ですので、ちょっとおうかがいしますが、百々さんの今のご意見は、札医大の意見として受け取ってよろしいですか?
百々氏
だめですよね? 私。
木村氏
それじゃあダメだよ! さっきからしゃべってて。
(声が錯綜)
三浦氏
まったく時間の無駄です。松村先生。いいんですか? 全部これは公にしますよ、私たち。いいですよね?
清水氏
松村先生、いいんですか?
三浦氏
百々さんはいいですよね?
百々氏
私は結構です。ええ。私は。
三浦氏
分かりました。はい。よろしいですか。
百々氏
ただ、立会人とか、して、書いてください。
殿平氏
でも認定なさったんだからな。
百々氏
そういう……だから、だからアイヌ研究やる人、いなくなっちゃうんだよお~。
三浦氏
そういうことを※※※(聞き取れない)
百々氏
そういうことを言われると。だれもいなくなっちゃ。小川さんねえ、小川さんの子どもたちが、あと100年したら、自分たちの祖先の遺骨もない人たちがね、アイヌがいなくなっちゃうよお~?
殿平氏
それはね、ある種の脅迫ですよ。
百々氏
脅迫じゃない。※※※(聞き取れない)
殿平氏
そんなことを言ったら話にならない。
(声が錯綜)
小川隆吉氏
どうもならん。どうもならん。
三浦氏
申し訳ない。
小川氏
百々さんね、百々さんね! いったいね、あんたはね、何の代表でここにいるの?
百々氏
ここ、前の教授でえ。
松村氏
何十年間とここのアイヌのご遺骨をずっと保管管理しておられた方、ということでございます。
百々氏
それでたまたまね、ここで縄文人の調査に来たの。ここに。縄文人の。調査に来たの。そしたらこの会があるってんで、立会人として出て下さい、と。
小川氏
じゃあね、この件で、完全に公開してもいいね?
百々氏
うん。
小川氏
公開してもいいね?
三浦氏、木村氏
公開してもいいですね?
百々氏
ああ、いいですよ。
三浦氏
分かりました。
百々氏
間違って公開しないでくださいね。いいですよ、正確に。
三浦氏
録音をとってます。両方とってます。とってますからね。はい。
小川氏
アイヌ協会では、※※※(聞き取れない)アイヌ協会は、全道のアイヌを代表する組織ではない。ない! ない!
百々氏
ない?
清水氏
ありませんよ。
百々氏
そうかなあ、僕は……
(声が錯綜)
清水氏
……なんですよ。あのね、協会のナントカサン、偉いか偉くないか知らんけど、勝手なことやっているとしか私、言えないんですよ!
百々氏
だれが? アイヌ協会?
清水氏
そうだよ。
百々氏
ようするにアイヌ協会に反対なのね?
(声が錯綜)
清水氏
反対とか賛成とかの話じゃないんだよ。
三浦氏
百々さん! アイヌ協会のメンバーは、アイヌ民族の全体の何%おられると思いますか?
清水氏
承知してんですか?
百々氏
いや知らない。
三浦氏
でしょう?
百々氏
50%くらい?
清水氏
あ~!
三浦氏
20%もいません。
百々氏
ふーん。
三浦氏
それが代表でいいですか?
百々氏
私は代表だと思ってます。
松村氏
あなたの主張は分かりますが、ただ、現実問題として政府はアイヌ協会を、公式なアイヌの代表の団体としてこう、認めているというか……。
木村氏
いや、それね、考え直してもらわんと困る。
三浦氏
分かりました。
(声が錯綜)
木村氏
アイヌの魂を売ったね、スンケアイヌが上部にいるわけだ。スンケアイヌったら、ウソのアイヌ、だよね。
百々氏
そうかなあ? 僕らはアイヌ協会をね、アイヌ協会の言うことをそのまま、あの、すべて言うことを聞こうと……。
(声が錯綜)
百々氏
だから違うんだね、全然ね。話が。
清水氏
はい、私もね……。
百々氏
だってどうして、アイヌの人たちは一枚岩になれないんだろう?
清水氏
同じようなこと出ますね。
三浦氏
日本もそうです。
清水氏
そうでしょう? あなた方もね、いまこのお座りの4人の方ね、同じ気持ちですか?
百々氏
知らない。分かんない。
清水氏
やっぱり個性があるわけでしょう? アイヌ一人一人だって個性ありますよ。こういう個性的な顔。私の個性的な顔。松村先生、私を北海道アイヌと認定してくれたんですよね。
百々氏
ああ、分かるよ。分かるよ。
清水氏
えー? 個性が違うんですよ。やっぱり。なのにね、アイヌは何で一枚岩にならん……※※※(聞き取れない)よくもみなさん、偉い方々、少なくても。※※※(聞き取れない)北海道アイヌ協会がね、アイヌの代表をしているとかっていう、自ら言っているのもね、呆れてしまってね。
百々氏
呆れちゃう?
清水氏
呆れてしまいますよ。
百々氏
うーん。困るなあ。
清水氏
困らないです。
百々氏
やあ、こっちは困るんですよ。だれを相手にしたらいいの?
清水氏
だから個々の地域のアイヌの……。
殿平氏
だから個々の地域のコタンの子孫に……。
百々氏
コタンて何さ? コタンて。
殿平氏
コタンて、あなた、コタンも知らないんですか?
木村氏
コタンて、アイヌの集落のことをコタンていうじゃない。先生、それくらい分からんの。あの本やなんか書いてて。
百々氏
で、今どこにコタンがあるの?
木村氏
コタンて、※※※(聞き取れない)したものはないけど……
殿平氏
日高にもコタンの会を今、ありますよ。この人たちがコタンの会のメンバーです。コタンの再生をいま、してるんですからね。
百々氏
コタンっていったらね、沢と沢の沢スジに作られてね、よそのコタンがね、そのイオルってのがあって、そこにイオルを争うと、部族間の争いになるんでしょ?
殿平氏
そうです。そうです。
百々氏
ん? ふふふふ。
木村氏
理解できないけども。
清水氏
理屈的にそうおっしゃいますけどね……。
百々氏
うん。
三浦氏
時間も時間ですので、札医大のほうから……。
百々氏
もっとやりましょうよお。
三浦氏
札医大として説明をしたいということを今、言われましたので、ちょっとうかがいましょう。
松村氏
はい。もうひとつですね、あのえーと。どのサンプル、えーと、ご遺骨からサンプリングしたかというリストについては、ご本人、当事者からいただいたほうが、正確でいいとは思うんですが。
若林和夫氏
つまり篠田先生、から。
松村氏
そうです。
若林氏
それは、篠田先生たちからもらうことは、可能なんですか?
松村氏
たぶん、もらえると思います。請求してみてください。
殿平氏
それはだから、札医大がですね、所蔵されていたお骨のことなんですから、札医大から、研究者の方々に連絡して、私たちにお伝えいただけますか?
松村氏
はい、分かりました。
三浦氏
はい。ま、ひとつ今回分かったことは、「共同通信の文章は全部、違っていた」ということは非常に大きなことですので、そのことも含めて、この質問状を改めてですね、しなければいけないことがいくつかあると思います。そういう点では、どうしましょうかね。まず質問。1の質問(に対する回答)は、「明らかにこれは、記事自体が間違っていた」ということで……
殿平氏
いやだから、この質問状はね、差し上げましたので、これについて改めて、あの医大の中でご協議いただいたうえで、この点が違いますとかですね、いろいろおありかも知れません、それはご意見として。あの医大側の立場として、文書でお出しいただく……
(声が錯綜)
松村氏
いま説明した通りなので、それをまあ文書にして……
殿平氏
私たちは文書で必要だというふうに申し上げていますので、それをきちっと出していただけたら。いただきたいと。
三浦氏
文書でいただいて。またそれに対して、それに対して、私たちも文書として、もう一度、再質問することがあるかと思います。
松村氏
はい、はい。
殿平氏
少なくとも私たちも、申し上げておきますけれども、あの、医大がね、このお骨を所蔵していたという事実のうえにたって行なわれた研究ですのでね、単にそれは、その、「自分たちが持っていたものを誰かが勝手に持って行って使ったのであってですね、われわれ何の責任もありません」ていうふうにもし、おっしゃるとすれば、それは全くそういうことにはならない、ということだけは申し上げたいとお伝えしておきます。
三浦氏
では、札医大のほうから。
百々氏
ひとついい?
三浦氏
いえ、ダメです。
百々氏
だめ?
三浦氏
もう時間も時間ですし。申し訳ありませんけども。
百々氏
そりゃないよー。
(声が錯綜)
松村氏
事務方の、事務方の、あの※※※(聞き取れない)終わってから、じゃ百々先生に。
百々氏
はい。
松村氏
時間が……
山崎正人氏
今日ですね、ご質問をこのような形でいただきましたので、いまお話があったとおり、あの、ま、このことについて、あの回答のような形にならないものもあるかと思いますけれど、いまご説明をさせていただいた内容のものを、文書でお返しするということで、対応させていただきたいというふうに思っております。あとですね……。
松村氏
返還については、国のほうで、文科省のほうで、返還についての手続き、ルール、いろいろなことが今、協議、そして制度が作られつつあるので、私たち大学としてはそれに、そのルールに乗って、手続き方法に乗って作業、作業と言いますか、進めていきたいと思っております。
木村氏
地域返還ちゅう認識はあるの?
松村氏
あります。あります。
殿平氏
それについて、私たちも改めて、北大開示文書研究会としてね、ひとこと申し上げておきたいことなんですけども、あの、政府が、どんな具体的な内容によって返還を進められるというふうになるのか、私たちも情報もないわけですから、分からないわけですけれども、少なくとも、やはりこの遺骨そのものの存在というものは、コタンというものが、あるいはコタンがまあ、もしなかなか形成が難しくなったとしても、コタンの末裔の人たちは必ず存在するわけですからね、その人たち、あるいはそのコタンを新たにね、コタンを作りたいという願いを持った人たちがですね、今やはりいます。その地域その地域の遺族、あのー、アイヌの方々がですね。したがって、そのコタンの構成員、あるいはコタンの子孫の方々に、きちっと遺骨をお返しするということをなしに、たとえば協会とか、あるいは白老の施設も含めてですね、そういう形でお骨が、えー、コタンの存在した場所、あるいはする場所、その構成員のところにお返しする以外のところへ届けられるということがあってはならない。ということがね、あの、私たちが、少なくとも今一緒に続けている遺骨返還の基本なんですね。そのことをぜひ、あの、単に「政府の方針に従ってやります」というだけではなくてですね、お骨を預かってらっしゃる、所蔵されている大学は、その主体的な責任がおありだろうと思いますから。
松村
はい、分かりました。
殿平氏
そこをきっちり、あの、ご判断いただいて、自主的な判断をぜひお願いしたいと。
松村氏
はい、もうひとつ、遺跡から預かっているものはですね、今後、研究利用に関しては、各コタンから地元の教育委員会におっしゃっていただければ、これ、研究利用して欲しくないと、いうことをおっしゃっていただければ、通じて、私たちのほうに伝わってくると思いますので、ま、そういうことはできる、そういうことで対応できると思いますので。あとはその、もうひとつ、文化財、えーと、ここでいろいろおっしゃ、質問にあることは、文化財行政全体、全般に関わることもかなり含まれておりますので、文化庁等にも要望を上げていただければよろしいのではないかと。
山崎正人氏
集約施設の話が出ましたので、私どもが聞いている話を説明させていただきますと、あすこはですね。各大学なり各博物館で持っている遺骨を一時的にまずは集約して、慰霊できるようにしましょうと……
殿平氏
白老にですか?
山崎正人氏
そうです。それが2020年、あと3年後にできる、と。で、私どもの保管している遺骨もそちらのほうに移させていただくと。ただそこで終わりということではなくて、そこからさらに地域返還ですとか、そういった枠組みをいま、国のほうで考えておりますので、最終的にはやはりみなさまの……
土橋氏
白老をさらに、アイヌの人の了解を得て研究にも使えるというようなことが入っているというから私たちは……
山崎正人氏
いや、あのですね。私もあのニューズレター、読まさせていただきました。あの中で、観光施設になるですとか、研究に使われるんじゃないかということになってますけども、そういうことは全くなくて……
殿平氏
いや、それは違う! あのね……
(声が錯綜)
山崎正人氏
全くないかどうかそこまでは分からないですけど。私どもが……
殿平氏
それ、どうして分かるんですか? 滅多にそういうことがない、というのは、なぜ分かりますか?
山崎正人氏
すみません、そこは説明を僕は聞いてなかったので、そういった……
殿平氏
だったらあなた、おっしゃらないほうがいい。書いてありますよ。研究に使うことが可能だというふうに。
土橋氏
アイヌ協会と※※※(聞き取れない)研究してもいいという合意がね。
殿平氏
合意がちゃんとあります。「使わない」ということは、それはありえない。
山崎正人氏
分かりました。分かりました。じゃあ、それ以上は。安置されるということだけは聞いていたものですから。
木村氏
あのね、アイヌの埋葬の基本を覚えてないから。まず土に還って初めて尊厳ある慰霊※※※(聞き取れない)だから。
山崎正人氏
はい、はい。
木村氏
あそこは土じゃないんだから。コンクリートの中に置いてね、研究材料として一時保管するだけの話なんだから。
山崎正人氏
そうですね。
松村氏
遺跡のものについては、市町村が所有権を放棄しましたら、コタンの元へ仮に返されて、土に埋めることも可能でございます。そういうのは、行政の中でルールができればということになります。
木村氏
20年前にやってもらいたい。
百々氏
しゃべっていい? だめ?
木村氏
研究ありきでものをやってるんだからさ。信用できないんだから。
百々氏
信用できない。あのさあ、だめなの?
木村氏
三浦さん、ちょっと話させてやって。
百々氏
あのね、コタンに返した。杵臼ですか? 返して、それはどうされました? 火葬?
小川氏
何を言ってんだ! あんた!
百々氏
杵臼にお返ししたお骨は、どういうふうにされました?
小川氏
なに!
松村氏
土葬をされたんですか?
小川氏
再埋葬だよ。
百々氏
うん。土葬して。
土橋氏
そのまま埋葬いたしました。
木村氏
あのね、もうひとつ覚えておいてもらいたいのはね。アイヌにはカムイモシリ、それからアイヌモシリ。北海道のことだよね。そして地下にあるポクナモシリってあるんだ。そこへとにかく返したいんだって。帰りたがってる。みんないま、ここへ入ってきたらね、早く連れて帰ってくれって、ポクナモシリへ。その声がもう耳について離れないの。今でも。だから。基本はそこなんだから。だから白老のインチキ収納庫には絶対移したくないんだって。アイヌは。
土橋氏
たとえば平取町からのいくつかありますよね。それを返して欲しいと、たとえば私も平取なんですけど、言ったら、それは返してくれるんですね。
松村氏
もちろん、いちおう、今の形では、地元の教育委員会にお返しするという形になっちゃうんですよ。そっから、教育委員会が所有権を放棄すれば、あの、みなさまにということに……そういう流れになると思います。
三浦氏
それはどこからの情報ですか? ガイドライン?
松村氏
いや、情報ではなくて、いまの所有権を考えると、そういうふうに考えられるのではないかと。
殿平氏
お骨は、所有権は……
松村氏
市町村の教育委員会に。
殿平氏
今も、個々に所蔵されている遺骨の所有権も市町村にあるっていうことですね。
松村氏
そういうことでございます。
木村氏
俺、電話であなたと話した時に、「預かり」という言葉を使った。
(不明)
はい、はい。
木村氏
だから預かってんだから簡単に返してもらえるんだなと思いながら、俺は考えていただんだけども。
百々氏
あのね、私にもう、批判されても何しても、されてもいいけども、あのねえ、日本人はねえ、何万体っていう自分たちの先祖の遺骨を持ってるんだけども、アイヌの人ね、自分たちの先祖の遺骨、なくなっちゃってもいいの? 将来、自分たちの子々孫々のこと考えて。
木村氏
まあ、そのへんのことはあるとしてね。いま日本人の間で墓を掘られて研究に使われてね、よしとする日本人はほとんどいないよ。
百々氏
ほとんどいないってか、だれもいないだろ?
木村氏
うん。だからアイヌもそうなんだ。同じことだべ。
百々氏
でもねえ。うん。
三浦氏
私たちも移動しなければいけない時間ですので。
松村氏
そこは盗掘のものと、遺跡の発掘調査のものとちょっと切り分けて、あの、考えていただきたいなと思っております。
三浦氏
もちろん、市町村に権利があるっていう点が、なぜまた札医大に預ける権利があるのかどうかっていう、そういうようなことも含めてですね。それは大学というよりは、国に対する質問になっていくかと思いますが、そういうことも、今ここで違う質問をされても困ると思いますので、こちらはこちらで、いろんな形で問うていこうと思っていますが、まず、今回はこの質問に関して、お答えいただいた部分を含めて、文書で回答いただいて。また※※※(聞き取れない)さんの文書のことに関してはまたこちらでいろいろとさせていただきますが、せっかくですので、アイヌの方たちたくさん、来ています。一言だけでもですね、いただいて。はい。隆吉さん。
小川氏
私はね、再埋葬をした。事実があって、その写真を持ってくる。持ってくる。いいね? いいね?
百々氏
はい、わかりました。
三浦氏
お名前も。
山崎良雄氏
私、浦河町から来ました、杵臼出身の山崎良雄です。あの、小川隆吉さんと同じ浦河町杵臼出身の私の姉、城野口ユリが、原告となって、あの北大開示文書研究会の人がたにお世話になっていた。私は姉の介護で、今年の7月で丸4年前なんですが、介護でこっちへ来まして。何も分からないところで、「ウン?」ていうところで、何……明治35年生まれの母親、私ら姉弟の母親。その母親が亡くなる、もう33年、34年ほど前ですね。今年33回忌をやりましたんで、母親の。その母親が「とにかく遺骨を返してもらえ」と。「俺は死んだってあの世には先祖様、迎え入れてくれない」って。「情けない」って。で、私の姉に「何としても取り返せ」。それで「罰金とったれ!」。「罰金取ってどうするんだ?」。「おらはもう何十年間、いつ帰ってくるか、いつ帰ってくるか、おらに断って、俺たちに断って持っていったもんじゃないべ」。「誰かの勝手な許可を得て持っていたんだべ」。この悔しい、「俺は学がないから、取り返すことができなかった」。その気持ちが、大学の先生がた、研究者がた、そういう辛い気持ちが事実あったということを、胸に刻んで欲しいです。そういった意味で、私もやっぱり、アイヌの人骨であれ、何の人骨であれ、何か聞くところによると、標本棚に頭骨が一緒におかれて、人間の尊厳扱いされてないなかで長年、何十年かと、その、ほかされてきたちゅうこと。これに対してほんと、私は怒りを感じます。以上。
神谷広道氏
新ひだか町から来ました。コタンの会の神谷と申します。えっとですね。遺骨がですね、研究されている方々がね、どういう研究されてるとか、そういうこと、一切分からないんですよね。で、※※※(聞き取れない)部分にね、なんか文章でも、掲示されてんのかなあ、と思って。分かんないんです。どういう研究されているのか。それをちょっと聞きたいなあ、と思って。
三浦氏
今日はそんな時間がないので。
神谷氏
ないの? まあま、思うとこはそうなんだけど。
百々氏
あの、すみません、僕、一冊しか本、ないけど、あのできれば、ちょっと高いんだけど買ってもらえないですか? だめ? なかなか売れないんですよ。日本人の……
清水氏
プレゼントしてくださいよ。
殿平氏
もらわなくてもよろしい。
(声が錯綜)
三浦氏
土橋さん、土橋さん。
殿平氏
必要ないよ。
百々氏
必要ない。そういうんだろうなあ。
(声が錯綜)
土橋氏
わたくし平取町平取出身のアイヌで、土橋芳美と申します。えーと、わたくしは去年の1月に私の先祖の4代前、曾祖父の兄のペンリウクの骨が北大にあるということがインターネットに載ってて、たまたまそれを教えてくれる方がいて、分かったんですね。私もこの遺骨の問題を、小川さんなんかが裁判でやっているのを意外と、こう、他人事だったんですね。だけど実際、自分の知っている、自分の先祖の遺骨があるっていう……もう何て表現していいか分からない動揺がありまして。すぐ行きました、北大に。それであの、「平取1」ていう番号で、平取の大酋長だったから、結局こう、そういう、あの、取っときたかったんでしょうね。ひらがなでペンリウクってちゃんと書いてあって。頭蓋骨に会わせてくれたんですよね。私はそれを引き取って、ちゃんとうちのお墓に入れようと思ってたんですけど、どういう理由か分かんないんですけど、9月になって、突然、「あれはペンリウクさんでない可能性が出てきました」って言って、返してくれないんですね。それで、理由はいろいろつけるんですけど。それで、あのほんとに、学者。つまり学者っていうか研究者ね。まあ先生もそうですけど。学問のためだったら何をやっても良いのかっていう……
百々氏
そんなことないよ。うん。
土橋氏
そんなことはないですよね。そうだと思うんですよ。だから、やっぱり、あの、例えばあそこにある遺骨のひとつひとつはね、みんな私たちのように地上で人生があって、生きた人間なのに、まるでモノ? それから研究の大切なナントカだから、何とか返したくないっていう感じが、私は読み取れたんですね。それでいま、北大と、えーと手紙のやり取りをして、あの、解決してないんですけれども。で、私はその、遺骨に会った時に、ほんとに、たとえば生きてる人間でいま、大罪を犯したって、終身刑ったって、30年か50年じゃないですか。ペンリウクさん、85年なんですよ。今年はもう86年になります。なんでこんなに囚われていなければいけないんですか? あれは、私はやっぱり、囚われの骨のね、骨の牢屋だと思うんですよ。
百々氏
札幌医大はそんなことないよね。分かるように※※※(聞き取れない)
土橋氏
分かりました。札幌医大は昭和32年からっていうからね。分かりました。ペンリウクは昭和8年の10月20日に掘られてる。記録もあるんですよ。ちゃんと。北大がそれをもってたんですね。にもかかわらず、まだ返してもらってません。だからあの、ほんとに、先生がおっしゃったように、今まではアイヌを人と見てこなかった。そういう時代があったと思うんですね。だけどそれ、でもまあ、※※※(聞き取れない)アイヌの学問とか、いいこともたくさんあるのに、全部ひっくるめて否定されるようなね、言い方をされてきっと憤慨なさったと思います。けれども、私たちの側から、墓を埋めたにもかかわらず、そこを掘り返して、持って行って、さんざんこうね、研究のために……自分だったら嫌ですよ。
松村氏
われわれも嫌ですよ。当然だと思います。
土橋氏
だから、そのね、思い。一人一人、私たちと同じ人間なんだっていう思い。そして、もし研究のために、先生、ご自分の遺体を研究になさるっていうから、まだ、すごい、いい人だと思いましたよ、私。だいたいみんな、そんなことしませんから。医学のために必要だとか言うけれどもね。だけど、ごめんなさい、長くなりました。
百々氏
あのね、ただ、あそこに並んでる骸骨をね、モノのように扱うことは許せないってなったら、私たちの、骨を研究している人たちはみんな否定されちゃうんですよね。
土橋氏
だから、そこの兼ね合いをどうするか、ですね。
百々氏
そういう考え方もある、っていうことですね。
土橋氏
私の遺族の気持ちっていうのは……
百々氏
それは分かります。それは分かります。
土橋氏
特に、掘り返してね、いったん死んで、長く寝込んで※※※(聞き取れない)、ペンリウクの場合は30年経ってから掘り返されてるんですけども、ほんとに、そういう非人間的なかかわり、それからその、差別的な思いが被せられて、私たちはなんとかここで生き延びてきた、「滅びの民よ」とか言われてるけど、私たちはこうして存在してますしね、だから、やっぱり、そうではない、ちゃんとものを言って、お互いにね、良い解決策を……。それからこの北海道は、アイヌと日本人とがどうやったってこれから一緒に住んでいかなくてはならない大地なんですから、私はこのアイヌ人骨の問題を解決しない限り、この北海道は祝福された大地にならないと思うんですよ。
百々氏
いいですね。賛成ですね。
土橋氏
だから、そのためにやっぱり、協力して、お互いに。
百々氏
こういうのを突然、持ってくる前にね、もっとざっくばらんに話し合いをするべきだなあと思って、僕は思って(た)から、最初に、暴言かも知れないけど、やったんです。
土橋氏
分かりました。
清水氏
ちょっと最後のことになると思いますけどね。えーと。百々先生のお話はね、何回も……何十回とは言いません、聞いてました。少なくとも3年、4年前のこちらでのイチャルパってのがありましてね、そのあと、人類学会、アイヌ協会との※※※(聞き取れない)、3年前かな、までは常に聞いてましたよ。学説だ何だ、本のことおっしゃってますけど、言わなくても分かってますよ。
百々氏
いや、自分の……
清水氏
先生のご説はよく存じ、知ってますのでね。だから、冒頭のあの、やっぱり撤回してもらった方がいいかな、と思いますし、いいですか? 「コタンって何だ」って一所懸命言ってましたね? 同時にね、こちらさっき言ってましたけど、アイヌの世界は、倫理観は、カムイモシリ、アイヌモシリ、ポクナモシリってあってね。そういう心理的なことをね、理解しておいていただいたうえでね、
百々氏
発言しろと。
清水氏
※※※(聞き取れない)、そういうふうに思いますよ。ね、どうもね、冒頭のあれはね、だからみなさん言ってるでしょう? 「あなた何のためにいるの?」って。いや、もう、言わなくていい。もう分かってますから。承知してます。松村さんとお話したくて来たんだ。私たちは。
百々氏
ああ、そうですか。すいません。
清水氏
ということでね、質問とね、お話を聞いていただいたと、理解します。で、先ほどの白老町の空間の問題についてはね、かなり間違いがありますね。
山崎正人氏
はい、分かりました。はい。
清水氏
ですから、理解していただいたうえでね、適切なお返事を文書でお願いしたいと、そのように思いまして。終わって良いですか。はい。きょうはいろいろ、ありがとうございました。